自筆証書遺言作成のルールが変わります②

 

今回は,前回のコラムで少し触れた自筆証書遺言の保管制度について解説します。

今まで,自筆証書遺言書(以下では「遺言書」といいます。)は作成後の保管方法が人々に委ねられており,遺言書の作成後に紛失したり,内容が勝手に変更される危険が常につきまとっていました。

そこで,今回,未開封の遺言書を法務局で保管してもらえる制度ができました。

 

遺言書を書いた人は未開封の遺言書を自分の住所または本籍地,あるいは遺言書を作成した人が所有の不動産の所在地を管轄する法務局に向かい,書いた遺言書そのもの(遺言書の原本)保管の申請を行うことができます。。

 

申請を受けた法務局では,遺言書そのものを保管するとともに,遺言書をデータ化して災害等により遺言書の内容が分からなくなることを防ぎます。

 

遺言書を作成した人は,遺言書の保管を申請した後,いつでも遺言書の管理の申請を撤回できます。ただし,撤回するには,保管を申請した法務局に自ら赴き,所定の書類を提出する必要があります。

 

また,遺言書を作成した人は,いつでも遺言書を保管している法務局に自分で赴くことで遺言書の閲覧又は保管を中止して遺言書の返却を求めることができます。

他人が勝手に遺言書の内容を見たり,遺言書の返却を受けることができてしまうと,法務局で厳重に保管してもらう意味がなります。

そのため,法律上,これらの手続は遺言書を作成した人自身が赴く必要があるとされています。

 

遺言者が死亡して遺言の効力が発生した後なら,いつでも,相続人,受遺者(遺言で何かをもらう予定の人)等は,遺言書を保管する法務局から遺言書の画像をプリントしたもの(遺言書情報証明書)をもらうことができます。

 

また,遺言書が死亡した後なら,いつでも,各地の法務局に対して手続をおこなうことで,相続人や受遺者から,①自分に関係ある遺言書が保管されているか否か,②遺言書の作成年月日,③遺言書が保管されている法務局の名前といった情報が載った文書(遺言書保管事実証明書)をもらうことができます。

 

また,法務局に保管された遺言書は家庭裁判所による形式の確認(検認)が必要ありません。

 

保管制度も始まり,これからご自分で遺言書を書かれる方も増えると思います。ただし,自分で遺言書を書く場合には,法律上の方式を守る必要があるため,注意が必要です。

当事務所ではご希望に応じた方式で遺言書の作成のお手伝いも作成させていただいております。

いつでもお気軽にご相談ください。

 

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