ドラマや小説,ニュースなどで「時効」という言葉を見聞きすることがあると思います。
それでは「時効」とは法律上ではどういうことをいうのでしょうか。
時効とは,ざっくり説明すると「ある状態が一定期間継続することで権利を得たり喪ったりする制度」のことをいいます。
これだけですと意味が分かりにくいと思いますので,我が国での時効の種類を具体的に説明していきます。
まず,時効には概ね民法上の時効と刑法上の時効の二つに分けられます。
そして,民法上の時効には取得時効と消滅時効が,刑法上の時効には公訴時効と刑の時効がそれぞれ存在します。
民法上の時効のうち取得時効とは,「ある状態が一定期間継続することで権利を得る制度」をいいます。
たとえば,他人の所有する土地の上に建物を建築し長年にわたって住んでいた,という場合に,住んでいた人はその土地の所有権を取得することが出来る,というものです。
次に,民法上の時効のうち消滅時効とは,「ある状態が一定期間継続することで権利が消滅する制度」をいいます。
たとえば,返済日から長年が経過したにもかかわらず借金を返済していないという場合に,借金(貸金債権)が消滅し借りたお金を返済しなくても良くなる,というものです。
これに対し,刑法上の時効のうち公訴時効とは,「犯罪行為が終了してから一定期間公訴の提起(起訴)が無い場合に,公訴権が時効によって消滅する制度」をいいます。
おそらくこれが一番よく見聞きする(?)制度だと思います。
いわゆる刑事裁判は,検察官が公訴の提起(起訴)をすることにより裁判手続がスタートしますが,この公訴の提起をする権利(公訴権)も犯罪がなされた後から一定期間が経過すると消滅してしまい,裁判をスタートさせることができず,刑罰を科すこともできなくなってしまいます。
公訴時効が完成するまでの期間は,犯罪の種類によって異なります。また,殺人罪のように,公訴時効が存在しない犯罪も存在します。
最後に,刑法上の時効のうち刑の時効とは,裁判で刑の言渡しを受けた後も一定期間その刑罰が執行されないままの場合には,その刑の執行が免除される制度」をいいます。
もっとも,通常であれば裁判で刑罰が確定したにもかかわらずその執行がいつまでもなされない,という事態は起こらないとは考えられます。
刑の時効が完成するまでの期間については,刑の種類や重さによって異なります。また,死刑は刑の時効にかかりません。